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限定して歯周病と舌クリーニングについて

舌苔のクリーニングが全ての人に必要かははっきりした結論は出ていない。という理由は対象の人により対応が違うからです。例えば歯が相当数ある人歯が何もない人若者健康状態の悪い高齢者などであります。

限定して歯周病と舌クリーニングについて話しますと、多くの研究がありますが、それを総論的に述べてくれた岩手医科大学の岸光男教授に感謝したいです。大いに参考にさせて頂きました。

簡単に言うと舌の上に白く覆われている部分は「舌苔」と言い、他院でこの舌苔をクリーニングするのを推奨されたいう患者さんがよく来院します。

口臭の原因の成分は揮発性の硫黄酸化物(硫黄温泉の匂い)といえば判りやすいでしょう)で、口腔内細菌で揮発性硫黄酸化物を産生するものは、各種歯周病原因菌がある中でも強力と言われている赤い複合体(Redcomplex)の3つの細菌グループの中のPg菌が有名です。

1)ポルフィロモナスジンジバリス(Pg菌)

2)タネレラ・フォーサイス

3)トレポネーマデエンティティコラ

舌苔のなかに歯周病菌が存在し、舌苔中の細菌量と口臭との関連性があることが報告されました。

では舌苔のPg菌はどこからくるのでしょう。

面白い研究があります。85歳の無歯顎者と有歯顎者とで舌苔中のRedcomplexの3種類の細菌を比較したところ有歯顎者に比べて無歯顎者はRedcomplex3種の細菌の検出率が非常に少なかったのです。

この結果は舌苔は歯周ポケットからの細菌を受け取っているということで舌クリーニングすれば歯周病菌をさらによく除去できているという理屈になり舌クリーニングは歯周病のプラークコントロールにも有効な医療行為であるという理屈になりますが、実際はたして有効なのでしょうか。

一方ではこんな研究があります。歯周病のない若者を対象にして舌苔とプラーク中のRedcomplexの検出を行ってみると舌苔からの方がレッドコンプレックスの検出率が高いことがわかりました。

これではなんだかわからなくなってしまいます。

つまり結論としてRedcomplexは歯周ポケットに現れる前に舌苔が予備備蓄的生息地となっていると考えられます。つまり舌苔とプラークの間には細菌の往来があるものと想定されるのです。口腔由来の口臭だけを考えればRedcomplexが除去できるのだから舌の清掃は口臭対策に有効な行為です。

歯周病治療は歯肉のプラークコントロールが主体で口臭が気になるようなら舌のクリーニングもすればよい程度ではないでしょうか。